家を出てきたものの進弥に行く当てはなかった。
「そういう女のとこ」へも、行くつもりなど毛頭ない。

 あのままあそこにいても、真純との言い争いがエスカレートするだけだと思ったからだ。

 しばらく時間をおいて、頭を冷やしたかった。

 進弥はゆっくりと歩き始めた。

 先ほどのやり取りを思い出し、気は重く沈んでくる。

 時々思っていた不安が的中した。

 真純にとって自分は、恋人ではなかったのだ。
 なにしろ付き合っている事が恥ずかしい相手なのだ。

 それが分かっていても、潔く真純の元を離れる気になれない。

 真純がこだわっている年の差なんてどうにも出来ないし、彼女が何を求めているのか見当も付かないのに、どうしても彼女を捕まえたくて堪らなかった。

 ぼんやり歩いているうちに、いつの間にか真純と出会ったコンビニの前まで来ていた。
 時間をつぶすために店内に入る。