「ちくしょーっ! ハルコの奴! 何が昔馴染みだ! 中途半端に人間くさくなりやがって!」


 わめきながら荷物をまとめると、進弥は部屋を飛び出した。

 いくつもの無関係なサーバを経由して、目当てのサーバに侵入している。
 人間なら短時間でそう簡単に居場所まで特定できるとは思えないが、相手は自律思考エンジン搭載のスーパーコンピュータだ。
 ハッタリではないだろう。

 元よりコンピュータに嘘やハッタリなどあろうはずがない。

 怪訝な表情をするフロントに宿泊費を突きつけて、進弥は夕方チェックインしたばかりのホテルを後にした。