金曜日の夜だ。
 シンヤは今頃、羽目を外した先輩たちに、散々飲まされたりしているのだろう。

 うっかりシンヤの事を考えてしまい、少し寂しくなった真純は、景気づけにひとり飲み会をすべく、缶ビール二本とタバコを持って、リビング前のテラスに出た。

 板張りのテラスに座り、隅に置いてあった灰皿を、自分の横に引き寄せる。
 吸わない人の前では吸わない事にしているので、タバコを吸わないシンヤがやってきてから、格段に本数が減った。
 値上がりした事だし、いっそやめてしまおうかと考える事もある。

 煙を吐きながら見上げると、晩秋の夜空に半分だけ欠けた月が、明るく輝いていた。

 明日の予定をぼんやりと考えながら、ビールを飲みつつタバコを吹かす。

 しばらくそうしていると、背後でサッシの開く音がした。


「ここに、いたんだ」


 振り返ると、今帰ってきたばかりらしいシンヤが立っていた。