猫が好き!



「もしかして真純って、オレが初めて?」


 どう言えばいいのか、返答に困る。
 三十も近いというのに未だフェアリー候補とは、二十歳の若造からしてみれば、呆れるような事実ではないだろうか。

 実はキスも初めてでしたとは、とてもじゃないが言えない。
 しかし黙っていても、いずれはバレてしまうだろう。
 だから、いずれって……!

 目を逸らして悶々と考えていると、耳元で低い声が聞こえた。


「黙ってると手加減しないよ」


 咄嗟に声のした方へ顔を向ける。
 目の前でシンヤが、意地悪な笑みを浮かべ、首筋に手を滑らせた。

 真純は思わず首をすくめる。
 そんな事にはお構いなしに、パジャマの中に侵入した手は、鎖骨を撫でて肩を掴んだ。