ビジネスホテルの一室で、舞坂進弥(まいさかしんや)はノートパソコンを二台立ち上げ、真剣な表情でキーボードを操作していた。

 暖色の柔らかな灯りが点る室内には、進弥の操るキーボードの音がカタカタと響いているだけだ。

 不意に進弥の手が止まる。
 そして口元には、かすかに笑みが浮かんだ。


「見つけた……!」


 目当てのファイルを発見し、それを早速自分のパソコンにコピーする。

 少しして進弥は異変に気付いた。
 それほど大きなファイルでもないのに、いつまでたってもコピーが終わらないのだ。
 画面はコピー中の表示のまま、固まっている。

(まさか、ポートが閉じられた?)

 進弥は隣のパソコンを操作し、接続中のサーバに自作ツールでポートスキャンをかける。
 その結果、さっきまで開いていたポートが閉じられている事が判明した。