夢中で駆け寄り、頭の上から声をかけた。 「何してんの?」 うずくまっていた大型犬は、真純を見上げて、人懐こい笑顔を見せた。 「どうしても忘れられないから、もう一度拾ってもらおうと思って」 真純は黙って見つめ返した。 懐かしい笑顔に、熱いものがこみ上げてくる。 けれど素直に喜べずにいた。 やっと吹っ切れたと思ったのに。 もう一度拾う事など、出来るわけないのに。 どうしてまたやって来たのだろう。 そう思うと、腹立たしさもこみ上げてくる。 シンヤは立ち上がり、営業口調で話し始めた。