途端に瑞希は焦った様子で、しどろもどろに言い訳を始めた。


「あ、ほら、あの事件の時、彼の事色々と調べたから」


 調べたのはハッカーの”シンヤ”の事だったはずだ。

 真純が探るように見つめると、瑞希はそそくさと席を立った。


「じゃあ私、忙しいから、もう行くわね。犬の事は雑誌でも見て検討してからの方がいいわよ」


 引きつったような笑みを浮かべて、瑞希はカフェを出て行った。

 カフェを出た後真純は、瑞希の助言に従って本屋に立ち寄り、犬の飼い方などが書かれた雑誌を買って家に帰った。

 もう少しで家にたどり着くという時、真純はドキリとして立ち止まった。

 家の門の前に、大きな人影がうずくまっている。
 見覚えのあるその姿に、真純の鼓動は一気に高鳴る。