「なーんだ。気付いてたのか。やるわね少年」 チャットの画面を閉じて席を立つと、辺奈瑞希は傍らにある、無機質で白い大きな箱に縋った。 「去年生まれたばかりの赤ちゃんなのに、高校生のお兄さんに興味を持つなんて、おませな子ね」 瑞希は目を細めて、箱の上を軽く叩く。 「博士、監視プログラムの強化とHALLCOの調整が終わりました」 箱の向こう側から、コンピュータ技師が顔を覗かせた。 「そう。ご苦労様」 瑞希が笑顔で答えると、技師は顔をしかめた。