「ハルコにコケにされてムカついたから、仕返ししてやろうと思って。今考えると、大人げなかったよね」


 大人げないと言うより、完全に子供じみている。

 照れくさそうに苦笑するシンヤを見て、真純は大きくため息をつく。


「さっきのおまえ、別人みたいだった。”オレ”とか言ってるし」

「普通、相手によって使い分けるでしょう。女の人はあまりしないかもしれないけど」

「だって、口調まで違ってたし。いつもは猫かぶってたの?」

「猫はかぶってないよ。僕がかぶってたのは犬」


 そう言ってシンヤはクスクス笑った。

 顔を引きつらせる真純の背中を押して、シンヤが促す。