男は多少うろたえながらも言い返した。


「それがどうした。オレの会社はメールの内容から誰にでも分かる事だ」


 シンヤの声が少し低くなる。


「あんた、オレをナメてないか? それだけ分かってりゃ充分なんだよ。あんたの事、丸裸にして世界中にバラまいてやってもいいんだぜ」


 男が息を飲んで絶句した。

 これがシンヤの裏の顔だ。
 いつもの人懐こい子犬の表情からは想像も出来ず、真純も少し息を飲む。

 シンヤはおもしろそうに笑いながら言う。


「まぁ、あんたの個人情報なんて、全世界の大多数の人には、どうだっていい情報だろうけど。代わりにあんたの会社のサーバに仕込んだウィルス、起こしといたから。あんたが彼女に手出ししなけりゃ、ずっと眠らせとくつもりだったんだけどね。ついでにウィルスが起動したら、感染元はあんただっていうメールが社長に届くようにしておいたよ」