くいっと顎を上げられ、唇を噛み締める。


背中に当たる、硬く冷たい壁に逃げ場を無くす。


「もう、逃がさねぇよ?」



フッと口許に笑みを浮かべて、綺麗な顔をした彼は私の耳元でそう囁いた。


ピクッと反応してしまう。


ち、近い………っ。


「ちょ、離してっ!」


「はい、そうですかーって言って俺が離すとでも思ってンの?」


「だって、嫌だ……。」



今すぐ逃げ出したい。