そして、俺は歩き出した。 遠くで、 「あぁ。俺も負けない。」 と言う原の声が聞こえた。 でも… 「凛としても、有村としても、ちひろに好かれて…。おまえが羨ましいよ…。だから、少しの間だけ、凛でいさせてくれ…。」 そんなことをつぶやいているとは知らなかった。 俺の止まった時間が少しずつ動き出す。 そんな気がした。