荒らされた……?
固まる私に、様子見に来たゼノンとレオドーラが近くに来たが、私はそれどころじゃない。荒らされた?
「ど、どういう……」
「アゼルが様子見に行ったら、中が荒らされていたらしい。電話でそう連絡が入った」
とりあえず父さんのところに行け。そう言ったファーラントに頷き、私は走る。それに二人が続く。
アーレンスの元へ向かうと、そこには電話をしているアーレンスがいた。片手でこちらを制し、座るように指差す。それに私たちはそれぞれ座るが、落ち着かない。当たり前だ。
聖都の自宅が、荒らされただなんて。何故?ただの泥棒?だが――――。
泥棒は、無理だ。
外壁や内部には防犯対策に紛れて、術をかけているのだ。無理に入ろうとしたりすれば反発を喰らうはずなのだ。
電話を切ったアーレンスが、眉間にしわを寄せる。
「なあ!シエナの家が荒らされたって」
「落ち着け。シエナよりお前が慌ててどうする」
ぐっと黙ったレオドーラが大人しく座る。
「クロフォード神官が様子見に行ったら、術が一部破壊されていたらしい。中も荒らされていると」
「おいおい。術って防犯でかけてるっていうやつだろ?あれ破壊するってどんだけだよ」
「それで、家は」
「閉鎖している。あれはただの泥棒ではないだろうからな」
閉鎖、閉鎖か。確かにそうだろう。
"魔術師"の能力持ちで、かつ父セラヴォルグ直伝の防犯対策が破られるというのはただ事ではない。
父の家が荒らされた、というのが蝕む。


