とある神官の話





 そう聞いたら、さっきからかなり機嫌の良いゼノンがああ、と思い出したかのように声を出した。




「使えるものは使いましょうってね」

「……」

「冗談ですよ」





 冗談に聞こえない。
 じと目で見る私に「ハイネンが」と続ける。




「私にくれたんですよ。なので実はいうと、どうやって入手したのか私も知らないのです」

「それ、いろいろと怖いんですけど」

「同感ですね。でも」




 大丈夫ですよ。ハイネンですし。
 そう続けた。ハイネンだからこそ怖いんだが。彼ならやらかしそう。

 にこりと笑ったゼノンに並び、歩くノーリッシュブルグは穏やかだった。
 祭日が過ぎ、もうすぐ年明けである。ああ部屋の掃除をしなくては―――の前に、今年は孤児院の子供達と過ごせなかったことが心残りだった。
 時間を見て聖都に電話をかけ、花やお菓子が届くようにはしたが。うーん。

 そういえば、本格的な演劇を見るのは始めてだ。そう話せば、ゼノンが「それはよかった」という。なんか、腹立つ。