「大丈夫か?」
「は、い。なんとか……」
その静寂を破ったのはラッセルだった。
大丈夫――――じゃない。
かくん、と力が抜けて私は雪の上に座り込む。先程までいたリリエフの姿はなく、あるのは灰だけ。
その灰に術をかけ、さらにラッセルの炎が振るわれる。灰すらも燃え付きていくねを呆然と見た。
リリエフを、倒した……?
あ、やば泣きそう。そう思った時だ「わっ」
浮遊。背中と足の裏へ回された腕。あれ、と慌てる私に追い撃ちをかける、その名も変人。
「大丈夫ですか!?シエナさん?シエナさーん」
「なんで」
さらさら銀髪に、正装。それは祭事を行うハイネンの手伝いをしているはずで。何でだ。何で。というか近い!
ラッセルが頭をかき、やや離れたところにいたアゼルが鬼の形相で向かって来るのを気にしない。いろんな意味で勇者。いやだこんな勇者。
「何で貴方がここに出てきてるんですか!」
あれ。
これまえにもあったよな。
だなんて思う私に、柔らかく「よかった」と言った彼にどきりとしてしまっただなんて、私は絶対認めない。
認めてなるものか!
私の無言をいいことに「このまま散歩でもいいですね」だなんていい始めたゼノンに、私は頭を抱えたくなった。
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