とある神官の話





 私は。私は。


 裂ける。闇は消える。空間が割れる。ああ私は今、ノーリッシュブルグにいるのだ。そう、私は私だ。負けてたまるか「なっ」




「嬢ちゃん!」




 雪の上に出たのは、文様。複雑に絡み合ったそれは、リリエフを鎖で拘束する。リリエフの抵抗で力が拮抗。だが「阿婆擦れめっ!」という声と、拮抗していた力が破壊。一気にリリエフを拘束していくっ!

 私の術が届いたようで、ラッセルとアゼルの姿があった。
 絶叫。リリエフの甲高い声が響く。




「おの、れぇぇええええ!許さぬ、許さぬぞ!彼の人は、彼はぁあぁ!私の、私の!」

「くたばれ外道」




 アゼルの処刑宣告。
 リリエフを拘束していた鎖が、強い光を帯びた。夜であるのにそれは辺りを昼間のように明るくさせる。

 顔を守るように腕をあげる。
 光は、一瞬だった。甲高い悲鳴。闇に堕ちたものの、呪いの声。



 ――――静寂。