とある神官の話




 神官とともに建物を進む。

 こちら側はあまり人の姿はない。私と、もう一人の神官の足音しかしない。そういえば現地の神官が「あー、本来ならアンジェラと」やら「飲み会がパアだ!」やら言っていたのを思い出すと笑み。……リア充め。


 羨ましいといったら羨ましい。そう思えるだけまだ、枯れていないと信じたい。

 建物の行き止まりまできて、終了。時間は、ちょうど今頃ハイネンが祭事をやっている頃だろう。
 ほっと息を吐く。
 終わりましたね、と言おうとした――――のだが。




「あ、の」




 神官の男は無言。顔をふせ、肩を震わせる。何かあったのか、と駆け寄れば「うーん」
 顔があげられる。笑み。しかしそれは笑顔というよりは、残忍な笑み。




「残念。"彼女"は入れないけどね、僕は彼女と違って入れちゃったり?」

「あな、た―――――」





 顔が歪む。それはあっという間に変わっていく。まさか、そんな。と唇が震えた。