とある神官の話




 時計を見るとやはり焦ってしまう。落ち着け。
 アゼルには「気をつけろ」と念入りに言われたが、はっきりいえば建物内にいるのだからと思ってしまう。ゼノンや私らがかけた大きな術はリリエフの侵入を阻むだろう。
 だが―――――油断出来ない「あと」





「向こうですね」





 典礼のための歌が遠くに聞こえる。聖都でも行われるこの祭日は、実はいうと毎回見ていない。理由は一つ。
 祭日は休みたい!という人の変わりをいつもしているからである。どうせ恋人もいません。祭日で仕事に入るとお給料がちょっと良いっていうのもあるのだ。

 ノーリッシュブルグでこの規模なら、聖都で行われるのはかなりだろう。揺れる蝋燭や歌はロマンチックであるし、恋人たちを盛り上げるだろう。