とある神官の話





「ラッセルは安静にという命が下り、ハイネンと双子は外に出ていますよ」

「では―――」



 アゼルは?と私は聞こうとした。その時ちょうどドアがノックされ、返事を待つまえに「シエナ!」という声と突進。ぐえ、と私が声を漏らしたのは完全に聞こえていないらしい。




「目が覚めたようだね。ああシエナ、噂は聞いてるよ。可愛そうに。奇人変人のオンパレードで大変だっただろう?」

「クロフォード神官、シエナさんが潰れます」

「煩い変態」




 酷いですね。そういっているくせに何故笑ってるんだ。私はアゼルに抱きしめられた状態で本気で頷きたくなった。
 抱きしめから解放しつつ、改めて久しぶりに会う先輩を見る。

 アゼル・クロフォード。
 女性で高位神官という位にいることを見れば、ゼノンと同じくエリートなのだ。私の、先輩で、友人でもあった。数少ない私の友人といえる。
 はて、と思ったのは――――「何故先輩が」



アゼルは聖都にはいなかったし、ノーリッシュブルグにいるとも聞いていない。あれ、と思った。

放浪癖があるのを思い出し、どこぞのミイラ男を思い出す。