とある神官の話




「何故貴方はあの方について来なかったの?」

「愚問ですね。間違っているから私はついていかなかっただけのこと」

「お前ごときがあの方を語るな」




 怒声ではなく、それは冷たい怒り。腕がふられ「あ」と。「シエナっ」と鋭い声がしたと思ったら、目の前に燃え上がる炎。それはまるで生き物のように女性に襲い掛かる!
 女性は回避――――しなかった。かわりに現れたのは大人の女性。引き付けられるような美貌の女。

 意味がわからない。
 そして、私を庇う影は「大、丈夫かね?嬢、ちゃん」


 ラッセルの腹には槍。そして崩れ落ちる彼を私は支える「ラッセル!」




「悪ぃ……遅くなった」




 あちこちに怪我をおっていた。だがそれでも意識を失わずにいる彼は手の平に炎を点す。
 一方血だらけのハイネンは呼吸が荒く、顔色も悪い「さてリリエフ」

 ハイネンは強引に口についた血液を拭い笑う。それにリリエフは訝しげに眉を潜めた。あきらかに今はリリエフのほうが有利だ。私はただ、助けられているばかり。何が"魔術師"だ。何が、何が能力持ちだ!何も出来ない。何も。




「少し躾が必要だ」

「っ!?」