"大丈夫ですよ、シエナさん"
ふとよぎったのが、あのストーカー予備軍のゼノン・エルドレイス。
風邪引くだなんて。あの人も一応人間だったのかと思ってしまう。エリートで何でも出来るから、何だかなあと――――って。
「何考えてるのよ私は」
彼――――ゼノンが何だっていうんだ。私にとって……百歩譲って知り合いだとして、それでしかない。助けて、だなんて言わない。私は。
街中で、走る影を見つけた。
小柄だった。子供か?
慌てて追い掛けていく。冬服だということが恨めしい。しかし脱いで荷物になるのは避けたい。
「ま、待って!」
いや、子供ではない、か?
小柄。確かに小柄だが子供というには出っ張りもある。ただ華奢なだけの大人か?―――――罠か。
だとしても確かめなくてはならない。揺れる黒髪を追い掛け、そして掴んだ「きゃあああああ」
「わっ」
「っ」
肩を掴んだら、酷く混乱しているように手を振り払う。だが、私の顔を見たら怯えの表情が僅かに和らいだ。
――――美少女。
違いに息が上がっていた。「だ、いじょうぶ?」という私に、女の子は頷く。


