とある神官の話






「場所を移動するか?」

「そう、ですね……」

「大丈夫ですか?」

「ええ。私は不死身ですから」




 小さく笑ったハイネンの顔色は悪い。ラッセルが再び腕を振るい、黒いゼリーを燃やす。熱風がくる前にヨハンが防ぐ。

 急ぎ足でその場を離れる。
 先頭はラッセル、後ろはヨハン。何がどうなったのか。聞けばあのリリエフとかいう者の仕業だそうだ。
 とにかくここから出なくてはならない。だがどうやって?

 唇を噛み締めた私は、とにかくラッセルについていくしかない。
 黒いゼリーは執拗に追い掛ける。そんな時。視界が曲がるような錯覚。力が抜ける。膝に力が入らず、崩れる。ふと足元をみればひび割れ。街中なのにまるで崖が崩れるように。




「っシエナさん!」




 顔色の悪いハイネンが手を伸ばす。最後尾にいたヨハンがゼリーの攻撃を受けていて手が離せず。ラッセルか「やべぇ!」と叫んだ。


 酷く気持ち悪い。
 掻き回されているような。


 ハイネンの腕が近寄るのを最後に、私の視界は黒く塗り潰された。