とある神官の話





「ハイネン!」




 開けた視界。まわりは白い。覗き込むようにしているのはラッセルだ。血相を変えたその表情が少し和らぐ「大丈夫か」

 何とか。そう答えようとして腹部に違和感。見れば腹から生えていたソレに、うわあと漏らす。刃。




「我ながらあれですね、何というか」

「それをいうならこっちが言いてぇわ」




 娼館に行ったまではよかった。

 嫌な予感がしたから、シエナを連れていかなかったのだが、正解だった。話している最中に紛れた"何か"が先手を打ってきたのだから。
 そいつは「久しぶり」と言った。美しい顔。女。リリエフ!という言葉は声にならなかった。

 娼館にかなりの被害。外へ出たまではよかったが不意をつかれすぎた。
 壁に縫い付けられた状態のまま、しかも出血がある。これは―――――まずい。




「さて、と」




 刃を手に掴んだが、見兼ねたラッセルが「俺が抜こうか?」と。確かに壁に縫い付けられた状態では厳しいか。

 心地悪いことを頼みます、と言えば苦笑。ラッセルがゆっくりではなく、一気に引き抜く。その反動で血が宙を舞う。刃は抜いた途端砂のように崩れた「あー」