とある神官の話




「悪い、見失った」




 悔しそうに言ったランジットがどうする?と聞いてきた。どうする。
 振り返って見たのは、村の方向。雪のために真っ白に見える。「ランジット」




「ん?」

「憶測なんだが―――――――」

「隠している、か」




 何か見られたくないものがあって、隠さなくてはならなかった。あんな小さな村ならば隠し場所もたかが知れる。住人同士も顔を知っているだろう。外部からとも考えられた。だが神官がいて、狭い村から逃げる、襲撃するとなると地形に詳しくなければ難しい気がする。


 能力持ちの村人がいるのではないか。




「エルドレイス神官!」




 神官の一人が走ってきた。様子がおかしい。「お前それ!」彼の腕は赤く染まっていた。手には短剣。
 よろめいた神官をランジットが支える。