とある神官の話





 故に、エドゥアールが教皇となれたともいえるのだが。
 人数が減る。指名手配犯は増える。頭の痛い問題集ばかりだった。枢機卿通り越して教皇に推す者までいたくらいの人物。人柄も実力も問題なかったのに。




「――――私が小さい頃は、神官なんて化け物のように見えましたがね」

「まあそうだろうさ。当時は腐ってやがったからな」




 神官は悪を倒す。

 それが世間で言う"神官"なのだろう。しかし、実際はそうでもない。
 力を持つ者は下を見下すようになる。力で捩伏せようとする。欲望が渦巻く。今でも何とか派というのがあるが、昔ほどではない。
 地方にいる神官が金儲けして云々など聞いていたし、エドガーもまた幼い頃に見た"神官"はそんながめつい者だった。