とある神官の話






「"時は来た。再び我らは復讐を遂げる"――――、一応伝言かな」

「それは」

「あ、それからもう一つ。これは僕からのプレゼント」





 神官が投げられた。ランジットが走る。派手な音を立てて受け止めたが、あたりに置かれていた樽や何やらがぶちまけられる。
 炎を引っ込めたヤヒアが笑う。




「"はたして嘘つきは誰か?本当は嘘に、嘘は本当に"――――じゃあね」

「!」




 背を向けたヤヒアに向け、ハイネンがナイフを放つ。が、捉えることなく闇に消えた。

 ――――何なんだ。
 力が抜け、私は地面に座り込んだ。ハイネンはヤヒアが消えた方向を見ていたが、やがて「ヒィっ!」という間抜けな声をもらす。何事か、と私は慌ててそちらを見たら、溜息。奥ではランジットが怪我を負った神官に手を貸していたところだった。

 ハイネンは空を見ていた。夜中は過ぎ、もう朝になりかけていた。さっきの騒ぎに住人らしき影も見える。空には青。今日も天気が良さそうだ。あ、良さそう?