とある神官の話





「汝、真の名を言え」





 鋭い声だった。それはハイネンの声。影が沸騰する。それにナイフが突き刺さり、悲鳴。耳を劈くような悲鳴だ。
 数名の神官が耳を押さえているのが見え、私も走る。練っていた術を放つ!

 光の小さな塊が尾を引いて、その男の周りへ。その光は線となって男の動きを封じる。





「ワ、ワれ……ワレ、は」





 ハイネンが足を折る。砕け散る音があたりに響き、そして本体もまた倒れる。その途中、何か見えたのは気のせいだろうか。

 外套が翼のように広がり、フードが脱げる。手に掴んでいた刃が回転したあとでランジットに蹴り飛ばされた。


 少々、驚いた。
 確かに体の全ては陶器に似た"器"で出来ているから、こうなるのだろうし、そう見えるのは普通で。
 腹部にまでひびが入り、穴があいていた。やはり空洞のようだ。