またもや心を読んでいるのか、佐助が「何が疑わしいの?」と聞いてきた。
「佐助さん…」
「んー?」
「何で…、“さんぽ”っていう単語…知ってるんですか…?」
“さんぽ”という単語がこの時代にある単語ではないのだと、愛は一瞬で悟ったのである。
すると佐助はあたしの手をぱっと離して、真正面に座った。
「鋭いね、姫さん。まぁ、まず名を教えてよ」
顔に貼り付けられた様なにっこりとした笑顔がどうしても気に入らなくて、目を逸らした。
「愛……です」
「へぇ、愛ちゃんかぁ」
「愛ちゃ…!?」
男性に“ちゃん”付けをされたことがなくて、ちょっと動揺した。
…ていうかまたひっかかるんだけど、何でこの人“ちゃん”って言う単語知ってるの…!?
真ん前で焦っているあたしを見て微笑みながら、また佐助から質問がとんできた。
「じゃあ、こっちからもいい?」
「…?…はい」
佐助は何も躊躇うことなくあたしに質問を投げかけてきた。
「何故ここにいる?」
目は笑ったように細められているが、口角は一切あがっておらず、全く笑っていない。
この質問に、ゾクリと背中に悪寒がはしって体温が上昇してくる。
…きっと、彼はもう気づいている。
ただ、ここで何も言わないのは、あたしから真実を言って、自分で地雷を踏むのを待っているからだろう。
…そうなんでしょ?
佐助さん。
心の中で話しかけたが、佐助は微動だにせず先ほどと表情を変えないままで座っている。
「……」
「どうしたの?何か言ってよ」
今度は、にたぁと笑う佐助。
…正直気味が悪い。
暫時、しーん…と沈黙の間があく。
放心状態気味で、あたしがぼーっとしていると、いきなり佐助がピクッと反応した。
その反応に、あたしもビクッと反応する。
