「……」
なぜか冷静さが保てなくて、そんな自分が分からなくて、あたしは俯いて黙り込んでしまった。
「……城崎さん、変わらないね」
「…え?」
村瀬くんの声に顔を上げると、しっかりとあたしを見た彼と目が合ってしまい、慌てて視線を逸らす。
なんだか、見つめられるのが恥ずかしかった。
「あ、うん。そうだよね、あたし自分でも変わらないって思うもの」
化粧もほとんどしてないし、髪型だってあの頃と同じ黒髪のストレート。
肩までだった長さが腰まで伸びてロングヘアになったけど。
だけど、変わったところといえば伸びた身長くらいのものだ。
残念ながら可愛くも美しくもなっていない。
あたしは気恥ずかしさを誤魔化すように笑ってそう言ったけど、それはどうやら村瀬くんの望んだ言葉ではなかったようだった。
村瀬くんの整った眉がきゅっと顰められる。
「そういうことじゃなくて。……なんていうか、纏ってる空気みたいのが、変わらないなって思ったんだ」
「空気…。雰囲気ってことかな?」


