話しかけて来たのはクラスのムードメーカー、ジンだ。


「今年で俺ら、卒業じゃん?で、まぁリア充も非リアもまとめてみんなでパーティーっつーか息抜き会的な感じでクリスマスパーティーやろうってヤスと話してたんだよ。」

「大翔来るだろ?あと、ユウも参加だよな?」


あまりの騒々しさに目を覚ましたユウがゆっくりと顔を上げた。かなり眠そうだ。


「ん…まぁ、じゃあ参加で。」

「え、お前カンナちゃんは…。」

「そういうの抜きで楽しもうってのが趣旨なんだろ?」

「そうそう!大翔ももちろーん参加だよな?」

「…なに、その顔…。」


ジンとヤスがニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべている。…大体考えていることの予想はつくけれど。


「紗衣は何だって?」

「お前が来れば雨音さんも来る!」

「…って言ったの、紗衣が?」

「言ってないけど分かる!だから来い、大翔!」

「…なんかそれ、俺の存在価値が薄くない?」

「雨音さんの前ではお前の存在感なんて薄くなるに決まってる!」

「最低だなお前ら!ったく、どうせ紗衣に声すら掛けられてないんだろ?」

「うわ、大翔のくせに雨音さんのこととなると余裕見せてくるからうぜぇ!」

「…そんな不遜な態度なら、別に出なくてもいいし声も掛けなくていいんだけど?」

「うおっ!すみません大翔サマ!頼むから雨音さん誘ってついでにお前も来てくれ!」

「最後の一言余計でしたージンくん。でもま、良い息抜きにはなるよなぁ、実際。」

「そうそう。」

「声、掛けるよ。紗衣ー!クリスマスパーティー行く?」

「おい!今ここでしかもその大声でかよ!」


そんなツッコミは一切無視して紗衣に声を掛けた。掛けられた方の紗衣はきょとんとした表情を浮かべている。