僕は少し風に当たりたくて、北校舎の屋上へ行った。

誰もいなかった。

風が冷たく、気持ちが締まったように感じた。

平行して建つ南校舎のずっと向こうに海が見えた。

12月の海はさぞかし冷たいだろうと思った。

すると南校舎の屋上に女子が一人出てきた。

「桃だ。風が冷たいのに体を冷やすじゃないか、全く何を考えているんだ。」

彼女は僕に気づいてないようだった。

風に揺れる彼女の長い三つ編みがふあふあしているのが

手に取るようにわかった。

彼女は僕より強い心を持っていた。

何事にも前向きなタイプだと思った。

今も僕を好きなのだろうか。

彼女の僕への想いが強ければ強いほど、

大きければ大きいほど、僕を迷わせる。

今の僕では支えきれない。

だから、つっぱねた。

もっと無視できればとも思った。

「ん?あれは原じゃないか。アイツ本気で彼女と付き合うつもりか?」