武田さん、どうしたのかな?

最後、少し変だった。

いつもの武田さんじゃなかった。

私は階段を下りた。

北校舎と南校舎の2階の連絡通路で原さんとすれ違った。

「桃ちゃん、武田まだいた?」

「はい、あの。」

私はなんと言っていいのか言葉につまった。

「どうかした?俺には何でも言っていいよ。

武田は変なとこクールだから、女の子がびびっちゃうんだ。何?」

「あの、さっき武田さん、変でした。急に黙ってしまって、

私が何か怒らせるようなことを言ったのかもしれないんですけど。」

「どんな話しで?」

「恋の話しで。私が恋をしたいって言ったら、です。」

「ああ、アイツは1年ん時、大失恋を経験したからな。

あん時の苦~い気持ちを思い出したんだろ?桃ちゃんには関係ないのにな。」

「そうだったんですか?でもどうして大失恋だったのかな?」

「ここだけの話しだけど、

アイツ、3年の女生徒会長を好きになっちまって大変だったんだ。」