私は二人の会話がどうしても耳に入ってしまうことに、

すごく気まずくて、雑巾をジャージャーと洗っていた。

「桃ちゃん!」

「は、はい。」

原さんが私の真後ろに立った。

「今度、俺たちとダブルデートしようか?

それとも、桃ちゃんは生徒会長が相手じゃ、イヤかな?」

「い、いえ、私はそんな、イヤだなんて、あ、あの、それは。」

と私は口ごもるしかなかった。

「う~ん、いい返事を聞いたよ。武田、今の聞こえた?

おまえがもたついてんなら、俺が先に彼女をいただいてもいいんだぜ?

そこんとこ、はっきり言っとく!」

原さんはバタンッとドアを閉めて生徒会室を出て行った。

「あいつ、なんてヤツだ。桃、原の言うことはマジに聞くなよ。」

「は、はい。」

「悪いな。君が傷つくような乱暴な言い方で、彼の代わりに謝るよ。」

「いえ、私は別に気にしてません。」

「それならいいが。」

ダブルデートって?

私と武田さん?

原さんは雪さんとか言ってたけど、原さんの彼女かな?

4人でってことかな?

キャアー!

なんかドキドキしてきた。

ど、どうしよう、顔が赤くなってないかな?