その時、カチャッとドアが開いた。

「武田いる?」

原さんだ。

「ぉおーっと、まずかったか?俺は邪魔だよな?」

「別に構わない。何の用だ?」

「夏のゼミのことでちょっと。」

「ゼミがどうかしたのか?」

「俺、この日だけパスするから、おまえにだけは言っておこうと思ってさ。」

「パス?」

「ああ、雪と約束があるんだ。」

「だからパスなのか?」

「そう、おまえはよく我慢できるな?」

「我慢って、何をだ?」

「察しろっ!とにかくパスなんだ。それだけだ。」