終業式の前日、私は掃除当番だったから生徒会室へ行った。

ケガをした前の時と違い、制服は夏服だ。

冬服のブレザーではなくワンピースだった。

私はロングの三つ編みが乱れてないか気にした。

髪質がふわふわしているくせ毛なせいで

編んでも毛先が出てきてしまうのが悩みだった。

私はコンコンとドアをノックした。

「どうぞ。」

武田さんの声だ。

「失礼します。お掃除にまいりました。」

「入って。」

彼はデスクの向こうから私を見つめていた。

「桃、ここに来て。」

「はい。」

私は彼のデスクの前に立った。

「腕は治った?」

「はい。」

「よかった。」

「あの、武田さん、私、もう一度ちゃんとお礼を言いたかったんです。

でもここに来る勇気がなくて、あの時はご迷惑をかけてすみませんでした。

いろいろしてくれてありがとうございました。今日まで言えなくてごめんなさい。」

「桃、僕は当然のことをしたまでだ。もう気にしなくていいんだ。」

「はい。私、お掃除を始めます。」

「頼むよ。」

「はい。」