朝霧花魁は知ってる …私が、此処を好いていない事も 必ず鳥籠から 逃げ出してみせると思っている事も 今が辛いと思っている事も… 「あい……」 「…なぁ、紫乃」 朝霧花魁が私の名を呼んで、 ふ…と小さく紫煙を吹かした。 「紫乃。お前は強うありんせん。力任せに出ようとしても捕まるのがオチじゃ。…此処から出る方法は三つ…知ってるか?」 朝霧花魁の言葉に ふるふると小さく首を横に振る 「…一つは働いて金を返す事。二つは客に身請けされる事」