その晩、月夜を見つめながら ボーっと窓にもたれていると 「夕菊花魁」 そう私を呼んで、 ことのが私の元へ来た ことのは、私が面倒を見ている禿で 将来を期待されている子だ …昔の私より、随分元気な子 「夕菊花魁、身請けされちまうって本当…?」 私の膝に手を置いて、 可愛い声で訊ねてくる 「…本当さ」 にこりと笑みを浮かべて ことのの頭を撫でる