突き出しで名は“紫乃”から
“夕菊”へと変わった
花魁になっても、
一之助様は私の馴染みでいてくれ、
他の女郎に手を出すなんて事もしなかった
一之助様がいらして下さった夜、
またも隣に座って微笑を浮かべていると
料理を食べる箸がピタリと止まった。
「一之助様…?」
「紫乃…いや、夕菊だったな」
しみじみ言う一之助様に
私の頭の中には、はてなマークが飛び交う
なんだろうか……?
珍しく悩んだ表情の一之助様に
ふと不安な気持ちがこみ上げた。
私、なにか
やらかした事があったのかしら……?
もしかして、体の相性が合わない……?
そんな事を思ったが、
そうではないらしい。