「いってらっしゃい…」


「うん、お母さん…ここまで育ててくれてありがとう」


それだけを言って、私はお母さんに背を向け歩き出した。


「さ、紗菜!」


「…あ、お兄ちゃん」


お父さんが仕事から抜け出せないから、お兄ちゃんがお父さんがわりなんだ。