「音羽さん…………」



そうだよね、そんな事、音羽さんが一番よくわかってるはずだよね…



《いいの、それに……私と世界が完全に繋がった。これでやっと………》




―パァァァァッ





光が瞬き、大樹からハミュルの花が咲き誇る。






《おかえりなさい…私の愛しい世界………》







その瞬間、先程の廃都市が美しい都市へと生まれ変わり、民たちが目を覚ますのが見えた。


すごい……
どんどん世界が彩りを取り戻していく……



《…良かっ…た……。これで…私…も………》

「音羽………さん……?」


音羽さんの声がか細くなっていく……



「音羽っ!!!」




すると、そこにハミュルが現れた。



「鈴奈、無事か!?急に消えたから心配したぞ!!」





エルシスが私に駆け寄ってくる。





「エルシス……音羽さんが………」

「俺も記憶を見た……。ハミュル……」




大樹に駆け寄るハミュルをエルシスは心配そうに見遣る。




「音羽!!」

《……ハ…ミュル………》



ハミュルは大樹に縋り付いた。



「どうしてっ…一人でっ…」


《だって……あなた…反対する…でしょ……?》


「あたりまえだ!!こんな事なら…私がっ……」




泣き崩れるハミュルの頬にに大樹のツルが優しく触れる。



《ハミュル…私は…あなたに…死んでほしくなかった…》


「それは、私も同じだよ…君が大切なんだ……」



別れが近づく二人に、胸が締め付けられる。



何も……できないの……?
私は、私には何もできないのかな……?



《愛してる……ハミュル……幸せ…に……》


「行かないで!!私には、音羽こそが世界なんだ!!君が消えたら…わたしの世界も消えてしまうんだよ……?」


音羽さんの声は完全に聞こえなくなってしまった。
音羽さんは世界と繋がり、世界の核として存在し続けるけど、ハミュルは……



「音羽っ……音羽っ……」



泣きながら愛した人の名前を呼ぶハミュルの姿に、私まで涙が出た。