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『ここに来てから何百年もの月日がたった。私は…ここで何を待っているのだろう…』
ハミュルはあのハミュルの花が咲き誇る丘で大空を見上げていた。
私には記憶がない。
でも、何かを待っている。
約束をしたんだ…いや、どんな約束をしたんだったのだろうか…?
それすらも、思い出せなくなってしまった…
『こんにちは……』
声が聞こえた。
懐かしいような、美しい鈴の音のような声だ。
振り返ると、黒髪に、白い衣を纏った少女がいた。
―ドクンッ
心臓が大きく脈打ったような気がした。
『君は…………』
どこかで会っただろうか?
私を知っているのだろうか?
私がなぜ見えるのだろうか?
色んな疑問が溢れ、その後の言葉が浮かばなかった。
『寂しい…よね…』
少女は悲しげに私に語りかける。
『そうだね、私は一人だから…。帰る場所もわからない…』
そう、私はここから動けず、どこにも帰れない。
いや、買える場所なんてないのかもしれない。
『……あなたは一人じゃない。愛されていたし、帰る場所もあるわ』
少女は私の頬を優しく撫でた。
今まで誰も私に触れることはおろか、視界にさえ映らないのに、この少女は簡単に私に触れることが出来た。
『あなたを迎えに来る。だから……待っていて…』
『もう、行ってしまうの……?』
少女に手を伸ばす。
少女は温かかった。この温もりももう消えてしまうのか…
『あまり、離れていると、世界に支障が出るから。でも信じて…必ず、迎えに来る…』
その言葉を残して、少女光となり消えていった。


