「わからない。ただ、わかるのは………私がいなくなったせいでこの世界は滅ぼうとしているのだと思う。大樹は王族の血をひく人間が命を削り、分け与えていくことで生きている。その大樹が消えれば、この世界も壊れる。これは大樹の命が限界を迎え、ここに生きる生き物の命すらを糧にし世界を存続させようとした結果なのかもしれない」
「だから都市だけが空を彷徨い続けていると?」
エルシスの言葉にはハミュルは頷く。
そんな……世界がそこに生きる生き物の命を奪ったの…?
ドル・ディーチェの大樹っていったい…………
「私は、この世界を壊してしまったのかな…?」
まるで崩れ落ちるように地面に膝をつく。
ハミュルの瞳は絶望に溢れていた。
「ハミュル………」
言葉が浮かばない。
今は励ましも心配もハミュルを傷つけてしまう気がした。
「ハミュル、立て」
エルシスはハミュルの前に立ち、真剣な瞳で見下ろす。
その圧倒感に私とハミュルは息を呑んだ。
「エルシス……?」
「お前はこの世界の王なんだろ。ならば立て。立ってその足で、手で、頭で…お前の持ちうる全ての力で世界を守れ」
戸惑うハミュルにエルシスは強く言い放った。
エルシスは王になる人だ。きっと私が何かを言うよりハミュルの心に届く。
私は静かに二人を見守ることにした。
「王である限り、俺達は世界、国、民を守らなければならない。どんなに大切なものを失って絶望しても、立ち上がり進まなければならない」
「絶望しても……立ち上がる。私は……王…だから……?」
ハミュルの問いにエルシスは頷く。
ハミュルは噛みしめるように『私は王だ』と呟き、立ち上がる。
「そうだね、私が諦めたら…それで終わってしまう」
ハミュルの瞳に輝きが戻った気がした。
「ハミュル。でも、あなたは一人じゃない。私達がいる」
「ありがとう。エルシス、鈴奈」
ハミュルは笑顔で私達の手をとる。
「力を貸してほしい。この現状を変えなければ」
ハミュルの言葉に私達は頷く。
「ドル・ディーチェの大樹の母体の所へ行こう。場所は城の地下だよ」
ハミュルが歩きだし、私達も後を追う。
そして、私達は城へと向かうのだった。


