巫女と王子と精霊の本




『はて、私は何からすればいいのやら……。お嬢さんといればおのずとわかるのかな?』



その質問には私も困った。
探そうとは言ったものの、手段がわからない。



「とりあえず、ハミュルの記憶が頼りだよね…。思い出すきっかけがあれば…」



この場所。
この場所になにか思い残すことがあったのかもしれない。



「ねぇエルシス。ここはずっとこんなハミュルの花が咲く丘だったの?」


「俺が生まれる前からそうだったと思うが…。そうだな、一度国の記録書を読み返そう。何か分かるかもしれない」



エルシスの言葉に頷く。
なんせ452年以上も前なんだ。エルシスが生まれた時より前のことはエルシスにもわからないよね。
これは一度城に戻ったほうが良さそう。




『なら私はここで待とう。おそらくここを離れることは出来ないだろうし…』




ハミュルは寂しげに微笑んだ。




「ハミュル………」




またここで一人寂しい思いをするんだろうな…
私達の帰りを待って、一人きりで………



「ねぇ、行ってみない?」



もしかしたら、行けないと思ってるだけで、本当はここから離れることが出来るのかもしれないし…



「そうだな、試してみる価値はあると思うぞ」

「そうそう!ね、やってみよ!」



笑顔で差し出した私達の手を見て、ハミュルは泣き笑いのような笑顔を浮かべた。


『あぁ、君が言うならば出来そうな気がするよ』




ハミュルはゆっくりと私達の手に触れる。
そして歩きだした。




「ここから出たら、合わせたい人がたくさんいるんだ!私の大切な友達とか!それから、それからねっ…」


「おい、落ち着け。ハミュルは逃げるわけじゃないんだ、ゆっくり話せばいいだろ」


『ははっ、君の話しならなんでも聞きたいよ』



あ……良かった。
ハミュルが笑ってくれた。
それだけで何故か自分がなにか救われたような気持ちになった。
だから私はまた話そうとして一歩を踏み出したのだが…


―バチンッ


「あいたっ!!?」

「っ!?」


もう少しで丘から出るという所で透明な壁のようなものが私達を弾いた。