巫女と王子と精霊の本




「その人や私のようにまたあなたと言葉を交わせる人はそう現れないと思う。その度に苦しむじゃなくて、前に進もうよ。きっと、その人も、望んでる」



私もそうだったように、孤独から救いたいと心底願う。


その辛さを知ってるからだ。



『君なら見つけてくれるんだろうか…』

「見つけるよ…」


強く頷き笑みを浮かべる。
どうか諦めないでほしい。


―私のように…



え……?
今私なんで”私のように”だなんて思ったんだろう。


私は前に何かを諦めたのかな…
記憶喪失なんて嘘なのにそう思うのはなんでなんだろう…



「鈴奈、不思議そうな顔をしてどうした?話し合いは終わったのか?」


エルシスが心配そうに私を見つめる。


「ごめん、まだあと少し!」



私は苦笑いを浮かべて
、声に向かって、空へと手を伸ばす。


「行こう!」

『もう希望なんてもたないと決めていたたけど…』


声は一瞬黙り、ふっと笑う。



『君なら何かを変えてくれる、そんなき気がするんだ』


私の手に触れるように温かい風が吹いた。その瞬間―…



―パァァァァッ!!!



光が瞬いた。



「なんだ!?」



エルシスが咄嗟に私に手を伸ばすのが見えたが私は温かい風を抱き締めるように手を伸ばした。



『……私の名は……、、、』


―声が…そうか。あなたは……


「ハミュル…」




―ビュォォォォッ!!!



風は強く吹き、光が人形を型どる。




『…私は…ハミュルというんだね。もう記憶の手がかりに近づけた』



白銀の髪に銀の瞳が風とハミュルの花びらにふかれ靡いている。



綺麗……まるで…



「ハミュルの花の移し身のようだな」



エルシスが代弁してくれた。
そう、彼ハミュルはハミュルの花を現すような容姿をもっていた。




ハミュルの花となにか関係があるのかもしらない。


「ハミュル、私は鈴奈。よろしくね。それで、こっちがエルシスだよ」


『よろしく。鈴奈、エルシス』




ハミュルは人懐っこい笑みを浮かべて私達にお辞儀した。



「いや、状況が急すぎてついていけないが…。どうやらハミュル、お前が声の主だったんだな」





エルシスはハミュルと握手を交わす。






なんだ、触れられるんだ。
思念体なんていうから、お化けみたいなものかと思ったのに…