巫女と王子と精霊の本




「あ…なんか、声が聞こえるんだよね」


「声?聞き間違いじゃないのか?俺には何も聞こえなかったぞ」


エルシスが不思議そうに首を傾げている。


『どうやら、あなたにしか聞こえてないようで』


「そうみたいだね」


なんでだろう、一体どうしてこんな事に…。精霊の次は思念体?



なんだかもう、驚きもなくなっちゃった。私もこの世界に馴染んできてるって事かな…


「なぁ、鈴奈、そうみたいって何がだ?」


「うーん、私にしか聞こえないって話を声の主と話してたんだよ」


「なんだ、精霊か?」


『いえ、私は思念体。何故かこの場所に捕らわれててね、離れられない』




離れられない……
つまり、地縛霊って事!?



「こ、怖っ!!」


『ひどいな、お嬢さん。私はただのおじさんだよ』


おじさん!?
声、すごく若く聞こえたのに!!



『ははっ、ありがとう。まぁ、お嬢さんよりかは二回りくらいおじさんだよ」


二回り……30才くらいって事か。



「で、あなたはどうして私に声をかけたの?」


『…さぁ、久しぶりに誰かと話をしたかったのかもしれないね』


「…話を………?」


『あぁ、長い間ここにいるが、話を出来たのは君を含めて二人だ』



なんだ、私以外に話せた人がいたんだ。
なら、ずっと一人だったわけじゃないのか…



良かったとホッとする。
ずっと一人は、寂しすぎるから…



「その人は今どこに?」


その質問に声は悲しそうに笑った。