巫女と王子と精霊の本



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「魔法の泉…」


泉なんてこの世界にいったいいくつあると思ってるの…?



ましてや私はこの世界の地理には詳しくない。


だからこうして兵士さんが私と一緒についてきてくれてるわけで…



「巫女様、具合が悪いんですか?」

「え、いえ!全然大丈夫です!」

「全然…大丈夫…とは、一体どちらなんですか?」


え!?
あぁ!!確か全然大丈夫って日本で通じる特有な言葉であってこっちの人にはわからないのかも…


「あはは…大丈夫…です」


なんか何もかも違うんだなぁ…


この世界は私のいた世界とは全然違う。


言葉も、政治も、考えも…


「カイン国の泉はこれで最後ですね」


私達は今日で何個目かの泉の前にきていた。


「…何も特別そうではないよね…」


私は泉をのぞきこむ。


―ボヤッ


「えっ………?」


今一瞬、水面の向こうに影が見えた。


「どうしました?」

「あ、いえ…」


私はまた水面を見つめる。


―バシャンッ


「!!!」


まただと気づいた時は遅かった。


―グイッ


水面から出てきた手が私を泉へと引きずり込んだ。