「エルシス王子」



セキがラミユルナ王女を連れて俺のもとへとやってくる。



「ラミユルナ王女か、無事でなによりだ」



ラミユルナ王女に向き合い、頭を下げる。


これが、癒やしの姫か…………
国を奪われ、囚われ続けた姫………


なのに……………



「あなた方が戦ってくださったから、今私達は未来を手にすることができたのでしょう。心より感謝いたします」



ラミユルナ王女は凛とした瞳で俺を見上げる。



誇り高い人だ。
失脚するには惜しい。



「ラミユルナ王女、この場所にヴェルデ王国を築きなおさないか?あなたならきっといい国を造るだろう」



その言葉にラミユルナ王国は首を横に振った。



「私には、守るための力がありません。私は、弱いのです。弱き者に国は守れない。そのような無責任な事はできません」


「あなたは………強いお人だ。武力では弱いかもしれない、だか国を導く強さがあなたにはある」


「国を……導く強さ………」


「武力は俺達が補おう。アルサティアは今回の災厄でボロボロだからな、あなたの力を貸してほしい」




今はなるべく早く国を建て直さなければならない。
そして、国だけでなく精霊、竜が住まう自然も。


手を取り合わなければならない。




「…私にその力があるというのなら、喜んでアルサティアの繁栄のために使わせていただきます」


「あぁ、頼む」



俺は剣を空へと掲げる。



なぁ、鈴奈。
俺は………王として皆を守れるんだろうか?



いや、違うな。
これは………誓いだ。




「俺達の未来に祝福を!!」


「「「「ウォォォォォッ!!!」」」」



人々の歓声が湧き上がる。
その歓声に俺は王として生きる、俺の存在意義を見つけた。



俺は………あいつの好きな、そして俺が愛したこの世界を守る王となる。
全てを平定し、国同士などのくだらない争いや種族の違いなどの争いをなくし、あいつがもっと好きになれるような世界を………



俺はお前に誓おう、アルサティアの未来が、笑顔溢れる世界となるよう………
俺が、俺達自身が選んで未来を綴れるように………