「そういうものかなぁ?」


「フェル、価値が無いなんて決めつけないで。世界を作るのも、壊すのも、
私達が勝手にやっていい事じゃないんだよ、きっと。
作ったのなら自分の子供のように最後まで愛さなきゃ」



どうかわかって……
どうか命の重みに気づいてほしい。



「愛するってどうやるの?楽しいの、それ」


「きっと楽しいよ。だって、愛情込めて接したら、人に同じだけの愛をもらえるんだから」


「そうかなぁー?ま、いいや鈴奈がそんなにいうなら、やってみよーかな」



どうか、フェルにもこの世界を好きになってほしい。
また、こんなふうに世界を混乱させたりしないで愛してほしい。




「フェル、この世界を見守ってあげてね…」



私達はそれを見守る事は出来ないけど……




「あぁ、いなくなっちゃうんだっけ、鈴奈」


「…うん。アルサティアをお願いね、フェル」



私は床に座り込んでいる鈴君の目の前にしゃがみこむ。



「うっく………くっ………」



鈴君、苦しそう………
もう、限界なんだ。
できれば、今、幸せになってほしかった。



孤独だったもう一人の私……………



「鈴君、私が傍にいるからね……」


「…鈴っ…奈………」



そっと鈴君を抱きしめる。
それくらい、今の鈴君は壊れてしまいそうだった。




「鈴君、行こう」

「…あぁ……」



鈴君は悲しげに笑った。



「…ぐぁあああああっ!!!!」



鈴君の悲鳴とともに魔力が膨大に解き放たれる。



―バチッ!!


「うっ……ううっ……」



痛い……。こんな痛みをずっと一人で………



「すま……ない……」



膨大な魔力の中、お互いの姿も見えない。
ただわかるのは互のぬくもりだけ。



「……あやまら……いで……」



―謝らないで…




「…私………後悔………てない…」



―私は、後悔なんてしてない。




私の目の前に本が現れる。
視界が悪い中、それだけは見えた。



―………なに……?



本がほのかに光を放つ。

 


まだ………叶うのかな……?



光放つ本を見つめながら、魔力の痛みに耐える。




「……きたい…………」



もし、願いが叶うのなら…………
私は…エルシス、あなたの傍で………




「……生きたい………」



ーゴワァァァっ!!!




魔力が私達をのみこみ、本の姿も見えなくなる。


遠ざかる意識の中、私は願う。
もう一度あなたに………会いたい……………