そして俺達を乗せた竜は一気に上空へと昇る。
「くっ…すごい、風だな!!」
風の音が耳をつんざく。
振り落とされないよう、竜の背角につかまった。
「ひゃあああっ!!」
隣では、セキが男とは思えない悲鳴を上げている。
「セキ!な、なな情けないぃ声を出すな!!」
「そ、そそそういうエルシス王子こ、ここそ情けない声だって!!」
駄目だ、震動でうまく伝えられない。
『行くぞ』
上空で止まった竜達が今度は一気に下降する。
「ぐうっ…く…」
このまま行けば見えない壁にぶつかる。
大丈夫なのか?
竜王のことだ、策はあるだろうが…
『ぶつかぞ!!』
―なんだと!?
慌てて角に掴まる手に力を入れる。
―ダァァァンッ!!
宮見えない壁にぶつかった瞬間、物凄い衝撃派が起こる。
そして、その、見えない壁の向こうへと突き抜けた。
『…越えたか』
―越えた?
『我等竜一族は世界の境界を越え、移住地を探していた。このような境界、越えるのは容易い』
―世界の境界…ってなんの事だ?
『世界は数多存在し、その一つ一つには世界が他世界と交わる事のないように境界が存在する』
じゃあ、鈴奈のいる世界もその数多ある世界の一つなのか……?
『…巫女のことか?』
俺の心を読んだように考えを的確に当てられる。
―鈴奈の世界と俺の世界、互いに行き来する事は出来ないのか?
無理だということは分かってる。
それでも…希望が欲しかった。


