―チャポンッ


水の音が聞こえる……



「……て下さい…」



なんだろう、声が聞こえる…



「…目を……て下さい…」


……あれ……
この声、どこかで聞いた気がする…



「鈴奈、目を開けて下さい!!」

「!!」


―ガバッ

慌てて飛び起きる。



「ここは…………」


見覚えのある地下牢、そして……



「良かった!!鈴奈、来てくれたのですね!」



金の瞳に金の長髪。
鎖に繋がれた少女を私は知っている。



「ラミュルナ王女!!」



そう、今はすでに滅んだヴェルデ王国の女王だ。



私達はひしっと抱き合う。




「やっと、見つけた!!」

「鈴奈、ここまで、来てくれて…本当に…っ…」


泣いているラミュルナを見て、守りたいと思うのと同時に、この人がいなければ…そんな嫌な思いが支配する。




「…違うっ……私は……」


「鈴奈?どこか痛むのですか?」




心配そうに私をみるラミュルナ王女を見ると、自分の汚さが目立って見えるようで辛い。





「…ありがとう、大丈夫!」




無理矢理笑顔を作ってみる。
この人のように、綺麗な心があれば良かったのに……




「鈴奈、あなたまでここに捕らわれてしまって……。すみません…」



この人は、これまでどこまで窮屈な思いをしてきたのだろう。



癒しの力が、この人を孤独にした。
でも、この孤独は……永遠じゃない。




「ラミュルナ王女、大丈夫、あなたは幸せになれるよ」



だって、エルシス王子に愛されるんだから……



「あなたが言うと、そんな気がします」



ラミュルナ王女は儚く笑う。






「だから、信じて。ラミュルナ王女、一緒にここから、出よう!」



そう、私は導くんだ。
この世界を救う為に。



私は巫女なんだから……



壊したい…そんな事思ってない!
私は…この世界が好き。
エルシスが…好き………




―ドクンッ

「くぅっ…あ…」



痛い…痛いっ……
刻印が私を蝕む。


どうして、想うことすらゆるされないの?
どうして…私じゃ駄目なの…?


「鈴奈!!どうしたのです!?」


ラミュルナ王女………
こんなに優しい人達を憎むなんて…



私、どうかしてるんだ…